February 13, 2008

まなそび(まなび+あそび)の環境づくり

Posted by Satoshi Yamamoto






小さい頃、「勉強しないで成績があがればいいのになぁ」と思ったことはありませんか?
私自身、常々そう思っていました。

「学問に王道なし」という言葉がありますが、地道にコツコツと勉強する以外に成績を上げる方法はないのでしょうか?毎日コツコツと遊んで成績が上がる方法はないのでしょうか?

学童ワイズの小学生(主に1~3年生)たちとの放課後生活を通して、最近気がついた点があります。
それは、小学1年生のほとんどが、入学して数ヶ月の間、「勉強が大好き」であるということ。彼らは、学校から帰宅すると、喜んで嬉しそうに宿題に取り組んでいました。
しかし、時間の経過とともに、少しずつそうした態度に変化が出てきます。宿題に費やす時間が多くなり、ダラダラと時間だけかけて解くようになるのです。
また、宿題に時間をかけない子でも、「宿題は楽しくないから早く終わらせるもの」と思っているようです。

入学したばかりの頃は「勉強が大好き」だとあんなに言っていたのに、今では「好きではない」と簡単に言い放ってしまうのはなぜでしょう。
もちろん全員ではありませんが、次第に、「勉強」に対する関心をなくしてしまう子が多くなっている気がします。

2年生や3年生を見ると、「勉強が好きではない」と答える子はさらに多くなります。彼らも入学した頃は、やはり宿題を楽しそうにやっていたのですが。
「好きでない」だけならまだ良い方です。中には基本的な問題すら解けなくなってしまう子も少なくないからです。

こうした状況を見ていて分かったのは、「勉強が好きではない」子には、以下の共通点があるということ。
①集中力がない。
②何に対しても面倒臭がる。
③「無理だ」と言ってすぐにあきらめる。

上の3点を克服するための手段として、どのようなものがあるでしょうか。
集中力がなく、何にでも面倒臭がり、すぐに諦める子に対して、「集中しなさい!」、「面倒臭がってはダメ!」、「すぐに諦めるな!」と言っては逆効果です。ナンセンスですし。

それではどうすればよいのでしょうか?

逆説的には、上記の3点を克服し、以下のチカラをつけることで子どもたちは飛躍的に伸びていくはずなのですが...。
①「真剣に取り組むチカラ」
②「面倒なことを厭わないチカラ」
③「あきらめないで考え続けるチカラ」

「そんなの当たり前じゃないか!」という声が聞こえてきそうですね。

問題は、どのようにそれらのチカラをつけさせるか、ということなんですよね。

ここで確かなことは、宿題に出されるような計算や文章問題をどんなにたくさん解いても上の3つのチカラをつけさせることは出来ないということです。(もちろん、それぞれの子どもの性格にもよるとは思いますが)

私たちは、上の3つのチカラをつけてもらうために、学童ワイズの学力育成クラスにおいて、ある試みをすでに始めています。
問題を解かせて解説するという「学習塾スタイル」の授業をやめ、新たな方法を取り入れ始めたのです。(少なくともしばらくの間は、この方法を続けていく予定です)

新たな方法を取り入れた途端、子どもたちにある変化が見られ始めました。
時間や問題の量ばかり気にして、なかなか集中できないでいた子が、真剣に取り組み始めたのです。
彼は、時間が過ぎて「今日はここまで」と言ってもなかなか終わろうとはせず、「先生!もう少しだから待って!」と言うのです。(これはこれで問題かもしれませんが)
こうなると良くなるのは成績だけではありません。普段の生活においても落ち着いた行動をとり始めるのです。

「勉強しないで成績があがる」
       ↓
「勉強している感覚が全くない状態で(遊んでいる感覚で)、問題に取り組んでいる」
       ↓
「遊びながら成績があがる」

特別な指導を不要とし、「教える」ことなく、遊んでいる感覚で成績が上がる、そうした「まなそび(まなび+あそび)の環境」構築は可能なのでしょうか。

私たちはそれが可能であることを信じ、上述した「ある試み」を続けていき、その環境づくりに取り組んでまいりたいと思っています。

(抽象的な話で読みづらく思われた方もいらっしゃるかもしれません。また、「遊び」や「勉強」という言葉の概念について、共通の認識を明確にしていないため、誤解を招いた点もあるかもしれません。それらの点については、今後、少しずつ具体的に説明させていただきたいと思っておりますのでご了承ください。)